無敵の法則(10)

【否定の接続詞】

相手との会話の中で、自分の発言の時に「いや、・・・」という風に「いや」から始めてしまう人がいます。

たいてい、本人は気づいていません。どちらかというと、相手を否定しているというよりは、「その件について、より正確にしたい」という気持ちが強いようにも思えます。

そのときの気持ちとしては、意外に相手のことを思って言っている場合もあります。

例えば、

「いや、そういう意味ではない」
→意味の違いを教えてあげる。

「いや、それだけではない」
→違った視点からの見方や、その人が知らない情報など、追加の情報の提供

「いや、そうでもない。」
→違った考えを正してあげる。

「いや、それはちょっとあまい」
→簡単に考えないで、きちんと深く考えた方がいい。

「いや、そう単純なことではない」
→偏ったものの見方をしないで、正確に見たほうが良いという正義感。

等々、「もっとこうした方がいい」という相手へのアドバイスだったり、相手が知らないことを追加で教えてあげるという親切心があります。もしかすると相手が知らないことや気づいていないことを自分は知っているという優越感も含まれていることもあるかもしれませんが・・・。

どちらにせよ、たいていは自分の間違いを指摘されているようで不快になります。また、会話の流れがスムーズでなくなります。

相手があなたのことを否定しているように感じることでしょう。

接続詞には、前の文章と違うときに使うものが他にもあります。

「いや」「でも」「だから」「しかし」「ぎゃくに」

これらは、相手の会話に共感したり同意したときには出てこない言葉で、どちらかというと相手の発言を否定するような雰囲気になる言葉です。

もし、相手がそのように言ったときには、そのまま受け入れるか相手に指摘するかですが、そのまま受け入れる場合はもちろんのこと、相手に指摘した時にそれを拒否されたときもまた、辛いものがあります。

そのように相手に否定された言葉を使われたときには「それは自分の不快の原因」だと理解し、せめて自分自身を否定しないようにすると良いでしょう。

もしかすると、「そんなことも知らなかったのか」という感じで相手にバカにされたような気分になったり、大した事のない人から不要なアドバイスをされてしまったと感じることもあるかもしれません。

また、もしあなたにそういう口癖があると気づいた場合には、こんなことを考えるのはいかがでしょうか。

・イエスバットからイエスイエスへ

営業マンなどのテクニックのひとつに

「イエスバット」

というものがあります。これは、相手の話の内容をまずは受け止めて肯定し、それから自分の意見を言うというテクニックです。

例えば、

「そうですね。おっしゃる通りです。しかし、・・・・」

というように使います。

もう少し高度なテクニックとしては、逆説的な言い方を相手に感じさせない方法もあります。

「そうですね。そう思います。例えば、◯◯ということもあると思います。」

と、さりげなく追加情報を加えるやり方です。

更に、もっと高度なテクニックが存在します。

それは、

「イエスイエス」と相手をさらに肯定してしまう方法です。

「そうですね。確かにそうです。他にも◯◯という場合もありますが、それに含まれますね。」
「そうです。そう思います。◯◯という意見もあるようですが、その通りです。」

と、違うものの見方や違う例などを少し口に出しつつも、相手を肯定することを第一にした話し方です。相手は気持ちよく話ができることでしょう。

あるいは、その場では受け止めておいて、後で思い出したように、

「そういえば、さっきの件ですが、◯◯という見方もありますね。」

と時間差で言うのは「相手を否定した」と受け止められる感じは少なくなりますし、相手の話を深く考えているという「相手を受け入れている」という印象を与えることも出来ます。

また、

「先ほどの話で、◯◯ということはないでしょうか。」

と相手の意見を聞くのは、相手を気持ちよくしながら相手の間違い等を指摘し、それについてよく考えてもらうことも可能になります。

この「時間差テクニック」を使っている人もいると思いますが、多少の忍耐が必要なために面倒くさいという理由で遣わない人もいるかもしれません。

「ここ一番」の大事な相手に対してだけでもいいので気をつけておくと良いポイントではないでしょうか。

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