私の会社では、ずっと銅合金の開発を行っています。色々な元素を組み合わせて、どんな金属になるかというのは非常に興味ある分野です。
銅の融点は1,080度ぐらいですが、他の元素を溶かすために1,400度ぐらいまで炉の温度を上げて様々な実験を行います。
金属の特徴は色々と面白いのですが、その中でも印象的なのがベリリウムです。
身近なところでは、ばね(スプリング)にベリリウムが含まれています。金属を硬くしなやかにします。電子機器等のバネとしても不可欠な存在です。
銅にベリリウムを少し添加しただけで強度が増すので、ベリリウムを添加した素材の試験なども行ってきました。
興味深いのは、ベリリウムはX線を透過するという性質です。純ベリリウムでナイフなどを作ったら飛行機の搭乗前の検査でも発見されないということです。
ただし、かなり高額な上、毒性があるので作る人はいないと思いますけど。
以前、自動車のF1レースでベリリウムが禁止されたのも、その毒性からです。直接体内に入ったり、蒸気の吸入による毒性が言われていますので、取り扱いには注意が必要です。
ちなみに、F1で使用禁止になったのはベリリウムの毒性と言われていますが、それよりも、レース費用が高額になることの方が問題視されたという話もあります。軽量で強度のあるベリリウムの部品が増えていくと、資金的な負担も大きくなるようです。
ベリリウムは宇宙開発には欠かせない金属ですし、今後は毒性についての研究も進んでいくと思います。
私自身も、ベリリウムを使った実験を続けていきたいと思っています。
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