リコール

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最近、車関係の「リコール」のニュースが目に付きます。

アメリカでのトヨタのリコールの問題から私自身の注意が向いているのかもしれません。

自動車のパーツ関連の仕事をしている関係で、「リコール」についてはお客様ともよく話をします。

製造業に関わっている人であれば理解していると思いますが、近年では「製品の回収」ということが企業にとっていつも気になる問題になっています。

あるパーツに不具合が出たとして、その不具合の製品だけを回収すればよいのですが、その不具合品を特定するのが「トレーサビリティ」ということになります。

「トレーサビリティ」は、英語の「トレース」から来ていて、トレーシングペーパーも語源は一緒だと思います。「なぞる」とか「後を追う」という意味ですね。

例えば、「7月1日に製造した品物は不良品だった」ということが9月に判明した場合、7月1日の製造分だけを回収すれば良いのですが、その辺の管理をしていなければ生産品は全部回収になります。

そのため、通常は「ロット」という単位で製造過程を管理します。

さらに、ある機械で金型を使って何かを作ったとすると、その金型の番号や、それを製造した機械、それに関わった人なども記録が必要で、車に搭載された部品のひとつひとつから履歴を追えるようなシステム作りが進んでいます。

設計変更、材料変更、金型の不備、機械の不備、人のミスなど、あらゆる不具合の原因に対してピンポイントで不具合製品を特定する必要があるので大変です。

最初から最後まで小さなロットで製造できれば良いのですが、途中の工程で例えば1万個を同時に洗浄するという場合、それまで1ロット50個の単位で管理されていたとしても、その時点でロットが1万個の単位になってしまいます。うまく小分けをしたままできれば良いのですが、どうしてもまとまった数量を1度に行う必要がある工程を通過するときに、それまでロット管理されていた製品が混ざってしまいます。

そのような「まとまった数量の工程」がいくつかあると、たったひとりの1時間の間のミスが、100万個の中から探さないといけない、ということにもなりかねません。

タイトルの「リコール」の話に戻りますが、近年はリコールへの対処のひとつとして、「製造ロット」が小さくなっていることと、管理項目の増加があります。

それでも、元々の設計ミスが原因で製造には問題が無い場合には回収の規模が大きくなります。

車の場合は、どのようなミスでも最低でも1~2万台になりそうですが、正確なところはよくわかりません。

ただ、例えば「5万台のリコール」という場合でも、設計ミスで無ければ、ロットの特定ができないために正常品も含まれていることがあるということですね。

1台の自動車の部品点数や精度などを考えると、不良品が出回る率はかなり低い状況だと思います。

人命にかかわらないような不具合に関してはけっこうあるのかもしれませんが、それはよくわかりません。

なんにせよ、「車のリコール3万台」とかいう話を聞くと、「ほんとに大変だな」と思います。せっかくの利益が吹き飛びますからね。

お客様に協力することとしては、品質や納期もそうですが、ロットを小さくしたり、製造の記録の管理もかなり重要になっています。

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