国税庁の統計情報を見ますと、平成24年発表の資料では平成22年末の平均給与は412万円(男性507万円、女性269万円)です。
で、平均給与が412万円とすると、そこから所得税とか年金とか色々と引かれますが、ざっくり400万円で何かを買うと仮定すると、現在の5%消費税は年間で20万円です。
それが10%になると40万円。差し引きで20万円が余分な出費となります。
税金を出費と考えてもいいのですが、可処分所得ということで考えると単純に給料が減るという考え方もできます。
つまり、収入が年間で20万円減ります。これは統計上の日本人平均です。
収入の少ない人には減税や消費税分のバックがあるらしいですが、収入の多い人はそれがありません。
例えば、年収が1000万円の人は消費税が10%になると50万円が負担増になります。
また、個人が使えるお金が減るわけですから、企業への影響もあります。
極端な話ですが、1050円で買おうと思っていたのに1100円になったら「高いから買わない」とか「手持ちが無い(可処分所得が無い)」という理由で買わない人が出てくるかもしれません。
別の例ですが、今は「税込」の表示をすることが義務付けられているため、「税込980円」という表示をして販売しているところがけっこうあります。私のところもそうです。
それは、購買者にアピールして買いやすい金額の「980円」というところがミソで、決して原価に利益を単純に上乗せしているような東京電力方式のやり方ではありません。
おそらく、消費税が5%から10%になっても「税込980円」にするべく企業努力をするところは多いと思います。
しかし、それはどこかで切り詰めるからで、国内のお金の動きは悪くなります。
そうすると、それを販売している会社は売上が落ちるために設備投資も控えたり、社員の給料も下がったりします。
その結果として、法人税や所得税などが減るため、なんと全体の税収は下がります。
期待している消費税も思ったほど国に入りません。
今、日本の借金が問題になっていることのひとつに、国民総生産(GDP)に対する借金の比率があります。
国民総生産を増やせば借金は相対的に減ります。
たとえば、あなたの借金が1000万円だとしましょう。年収が500万円だと破綻しますね。危機的状況です。
でも、年収が10億円ならどうですか?借金を返していない同じ状態でも危機的状況とは言えませんよね?
年収が500万円で、毎月1万円返していたのを2万円の返済にすれば、たしかに借金を返すことは早くなりそうです。
でも、生活は苦しくなります。
なぜ、収入を増やして返すという選択肢は議論されないのでしょうか?
アメリカや中国は、国家がお金を供給して動かしています。
日本はお金があるのに動いていません。
政府がやるべきことは、お金を動かすことです。
国民からお金を増税の形で奪ってしまうと、余計にお金が動きません。さらに、その結果として税収は下がりGDPは悪化します。国債の対GDP比も悪くなります。
国会議員の中でも意見が別れているのはこの辺ですね。
「日本はこれ以上成長しない」
という人が、将来にそなえて増税しておこうと思っているようです。
「税収は消費税が5%でも10%でも、結局は下がるから、とりあえず今のうちに上げておいた方がいい」
ということだと思います。
ちなみに、8%、10%と段階を踏むのも手間がかかります。
国民にきちんと説明をして納得させれば、いきなり10%でもいいのではないでしょうか?
インフレが続くときには増税すべきだと思いますが、シミュレーションをして計算値から税率を判断すべきです。10%という数値に根拠はありません。
税率に関しても、なんとなく「8のあと10って感じで、ゆっくりだからね」という感じで説明をごまかしているように感じてしまいます。
「カエルさん、ゆっくり温めてあげるね」
という感じでしょうか。
あなたの年間の20万円を守るためにも、そして年収を増やすためにも、政治家の話を聞いて疑問があったら調べてみるのがオススメです。
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