「プロセスの監視」という言葉は、難しく聞こえると思います。
プロセスについてはこちら。
http://morimasaya.jp/2011/03/post-447.html
何の話が始まったのかという感じでいきなりですが、続けます。
プロセスの監視というと「うまくいっているかどうかをわかるようにしてチェックする」というような感じですが、「ちゃんとできているか注意しておく」とか「大丈夫か気にしておく」ぐらいの日本語の方が親しみやすくなりそうです。
仕事だけでなく、友人関係や家族との間でも「意志の疎通がうまくいっているか」とか「頼んだことがうまくいっているか」ということを知るために使っている方法を難しい表現にしたのが「プロセスの監視」ということかもしれません。
「プロセスの監視及び測定」という言葉が世界標準規格のISOという品質マネジメントの中で出てきます。
ISO9001:2008 日本規格協会ポケット版から引用してみると、
8.2.3 プロセスの監視及び測定
組織は、品質マネジメントシステムのプロセスの監視、及び適用可能な場合に行う測定には、適切な方法を適用しなければならない。これらの方法は、プロセスが計画どおりの結果を達成する能力があることを実証するものでなければならない。計画どおりの結果が達成できない場合には、適切に、修正及び是正処置をとらなければならない。
注記 適切な方法を決定するとき、組織は、製品要求事項への適合及び品質マネジメントシステムの有効性への影響に応じて、個々のプロセスに対する適切な監視又は測定の方法及び程度を考慮することを推奨する。
引用はここまでですが、いかがでしょうか。
要するに、カレーを作ってお客様に出すときに、ジャガイモの数や煮込んだ時間などがいつも同じものを提供できているかどうかは気になりますよね?
自分で作っているときも途中経過がいいのかどうかを知りながら作りたいですし、他の人にお願いしているときでもうまくいっているのかが知りたいところです。
ジャガイモの数や煮込んだ時間を測定して書いておいて、それを他の人がチェックすると完璧に近いですが、それだと大変なことになってしまいます。ISOにはコストダウンについては特に書かれていませんから、まともに全部をやろうとするとコストもかかります。
ISOの規格で「適切な方法を適用」という文章があるのは、まさにそれで、「ちゃんと出来ているかどうかがわかればいい」ということなのでジャガイモの数を毎回数えるか、あるいは3個に決めて管理するかどうかは経営者の判断になりますね。
あるいは、ISOの他の手段を用いて「ジャガイモの数を間違えないこと」という技量について「力量」ということで評価しておいて、「ジャガイモの数を間違えないということで社内認定されている人」だけがカレーを作ることができる、という定義にすることも可能です。
その場合のプロセスの監視は、「カレーは社内認定されている人だけが作っている」というチェックだけでもうまくいきそうです。
なんにしても、目的は「うまくできること」であって、プロセスの監視はそのための手段です。
なぜこういうことを言っているかというと、たまにですが、「プロセスの監視」が目的になってしまう場合があるからです。
プロセスを監視するのが目的ではなくて、「ちゃんとできているかを確認したい」という気持ちが先ですね。
何をどうやったらうまくできるのか、コツはどこか、ここを間違うとダメだというところはどこか、というポイントを出すのが先で、どうやって監視するかが次ですね。数値化できるものがあるからそれを使うというのではなくて、重要なポイントをどうやって数値化するのか、という感じです。
で、数値化できないときには力量にするとか他の方法を考える感じですね。
「プロセスの監視」はISOで規定されているぐらいですから、とても重要な事項です。
言葉が難しそうなのと、「監視」ということがイヤだという部分で取っ付きにくくなっているかもしれません。
ちなみにカレーの話に戻りますが、「ジャガイモの数は適当でいい」と経営者が決めた場合には測定する必要はないのはもちろんです。
プロセスの監視は規定にもある通り、「その監視方法を使うことで完全になる」というものでなければいけません。プロセスの監視をやっているというだけではISOではNGで、目的を達成するベストな方法を行うことが必要です。
「とりあえずうまくいっている」と思っていても「完全では無い」と感じたら修正しなければいけませんので、それについても規定されていますね。
ISOはかなり役立つツールですので、まだ導入されていない会社があれば、ぜひ取り組んでいただければと思います。
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